僕がレーシックを受けるかもしれない、ということを聞いた周囲の反応は当然ながら冷ややかだった。「ばかじゃね」「金をどぶに捨てるのかよ」というほとんど罵声に近いような言葉を浴びせられた。僕自身もきちんと資料を読んだりしなければ、レーシックなどというわけのわからないものにお金を払おうとする人間を馬鹿にしただろう。
僕は放っておこうと思っていたのだが、真剣に止めに入る人も現れ始めた。お年を召した方は「親から貰った体を駄目にするのはいかがなものか」という人もいたし、そこまでいかなくても、「ちょっと落ち着いて考えてみては?」という人もいた。
とにかく、彼ら彼女らはレーシックというわけのわからないもの――詐欺に近いという認識だったのかもしれない――に身近な人間が巻き込まれるのを何とか止めようとしていたのだろう。それで、僕はレーシックには歴史があり、かなり安全だということをやんわりと説明するはめになった。それでも納得してくれる、というよりもあきらめる、という感じの人が多かったと思う。「ああ、かわいそうに」と思っていたのだろう。
なによりのネックはレーシックが保険適用外ということだったと思う。そして、周りにそんな手術を受けた人間がいないのだ。多分美容整形よりも、もっと怪しげなものに感じられたに違いない。
美容整形ならばテレビでCMもやっているし、よく冗談のネタにされている。しかし、レーシックは別である。昔の少女漫画のようにブスな女の子がメガネを取ったとたんに美人になる、そんなベタなことも今はない。コンタクトレンズがあるからだ。
特にレーシックで体験談を書いているような有名人は芸能人やスポーツ選手が多いため、初めからコンタクトレンズをつけている人が多い。つまり、レーシックを受けても外見が変わらないのだ。これではツッコミを入れてくれるお笑い芸人さんもいない。自分からレーシックを受けました、という話をしても一般人でもあまり盛り上がらないだろう。
というわけで、周りの反応は、新手の詐欺に騙されようとしている哀れな僕を何とか止めようという雰囲気で一杯だった。
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